請求書をペーパーレス化する方法|電帳法対応もまとめて進める

ペーパーレス

「毎月の請求書発行・受取が手間」「電子帳簿保存法への対応が不安」という方へ。請求書のペーパーレス化の手順と、電帳法対応を同時に進める方法を解説します。

編集部では、請求書のペーパーレス化を検討している中小企業の担当者からよく寄せられる「何から始めればいいかわからない」という声をもとに、発行・受取・法対応を一気に進める手順をまとめました。

ハンコ・FAX全般のペーパーレス化については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

請求書ペーパーレス化で解決できること

紙の請求書を続けていると、次のような問題が発生します。

  • 発行のたびに印刷・封入・郵送の手間と費用がかかる
  • 受け取った請求書を紙で保管するためのスペースが必要
  • 過去の請求書を探すのに時間がかかる
  • 2024年以降、電子取引のデータを紙で出力して保存することができなくなった

請求書をデジタル化することで、これらの問題をまとめて解決できます。

【編集部より】請求書のペーパーレス化で最も即効性があるのは「発行コストの削減」です。A4用紙・封筒・切手・郵送の手間を合計すると、1通あたり100〜200円程度のコストがかかっています。月に50通発行している会社では、年間60,000〜120,000円の削減になります。コスト試算をしてから経営者に提案すると、導入の意思決定がスムーズになります。

電子帳簿保存法(電帳法)とは

電子帳簿保存法は、帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。2024年1月からは、メール・クラウドサービス・EDIなど「電子的な方法で受け取った書類」は、電子データのまま保存することが義務になりました。

つまり、取引先からPDFで請求書を受け取った場合、それを印刷して紙で保存することは原則できなくなりました。

電子データとして保存する際には、以下の要件を満たす必要があります。

  • 日付・金額・取引先で検索できる状態にする
  • 改ざんできない状態で保存する
  • 税務署の調査時に速やかに提示できる状態にする

【編集部より】「PDFで受け取った請求書を印刷して保存している」という会社は、すでに電帳法違反のリスクがあります。ただし対応は複雑ではありません。クラウド会計を使っていれば、PDFをそのままアップロードするだけで要件をほぼ自動で満たせます。まず自社の請求書受取フローを確認し、電子受取分の保存方法を見直すことから始めてください。

請求書発行をペーパーレスにする

クラウド請求書サービスを使う

クラウド請求書サービスを使うと、ブラウザ上で請求書を作成し、PDFをメールで送付できます。紙の印刷・郵送が不要になります。

主なサービス:

サービス名 月額目安 特徴
freee請求書 無料〜 freee会計と連携しやすい
マネーフォワード クラウド請求書 無料〜 マネーフォワード会計と連携
MisocaA(ミソカ) 無料〜 弥生との連携・シンプルで使いやすい
board(ボード) 3,980円〜 見積〜請求〜売上管理を一元化

※料金は公式サイトでご確認ください。

【編集部より】クラウド請求書サービスは無料から始められるものが多く、導入のハードルが低いのが特徴です。すでにfreeeやマネーフォワードを使っている会社は、同じシリーズの請求書機能を使うと会計データと自動連携できるため、入力の二度手間がなくなります。まず今月発行する請求書を1枚だけクラウドで作ってみることをおすすめします。

契約書・発注書など請求書以外の書類の電子化には、電子契約サービスが必要です。

なかでも0円から始められるベクターサインは、初めて導入する中小企業に試しやすいサービスです。

クラウド会計の請求書機能を使う

すでにfreeeやマネーフォワードなどのクラウド会計を使っている場合、請求書機能がセットになっていることがほとんどです。追加ツールなしで請求書のデジタル化ができます。

【編集部より】クラウド会計の請求書機能を使う最大のメリットは「請求書の発行と売上の記帳が同時に完了する」点です。請求書を送付すると自動で売掛金が計上されるため、入力の手間が大幅に減ります。すでにクラウド会計を導入している会社は、まずこの機能を使っているかどうか確認してみてください。

請求書受取をペーパーレスにする

取引先にPDF送付を依頼する

現在紙で請求書を受け取っている取引先に、「メールでのPDF送付に切り替えてもらえますか?」と依頼します。多くの取引先が対応してくれます。

【編集部より】「取引先が紙にこだわっている」と思っていても、実際に依頼してみると対応してもらえるケースが多いです。取引先側も郵送コストや手間を省きたいと思っていることがあります。「電帳法対応のために電子受取に切り替えさせてください」という伝え方をすると、法的な背景があることが伝わりスムーズに協力を得やすくなります。

紙で受け取った場合のスキャン保存

どうしても紙での受け取りが続く取引先がいる場合は、受け取った紙をスキャンしてPDFで保存します。電帳法の「スキャナ保存」要件を満たす必要がありますが、多くのクラウド会計がこの要件に対応した機能を持っています。

スキャン保存の主な要件:

  • 受領後速やかにスキャンする
  • カラーで保存する
  • 解像度200dpi以上

【編集部より】スキャナ保存の要件は一見複雑に見えますが、スマートフォンのカメラで撮影してクラウド会計にアップロードするだけで要件を満たせるケースがほとんどです。「スキャナがない」という会社でも、スマホのカメラで対応できます。

請求書受取サービスを使う

電子・紙の両方の請求書をまとめて管理できるサービスもあります。

  • invox受取請求書:紙・PDFを問わずAIでデータ化し、会計ソフトに連携
  • TOKIUMインボイス:インボイス対応の請求書管理に特化

【編集部より】請求書の受取件数が月に数十件以上ある会社や、紙とPDFが混在している会社には、受取請求書サービスの導入が効果的です。AIが自動でデータ化してくれるため、入力作業がほぼゼロになります。件数が少ない会社はクラウド会計の機能で十分対応できます。

インボイス制度への対応

2023年10月から始まったインボイス制度では、仕入税額控除を受けるために「適格請求書(インボイス)」の保存が必要になりました。

デジタル化された請求書サービスの多くは、インボイス対応(登録番号の記載・確認)の機能を持っています。紙のままだと管理が煩雑になるため、デジタル化と同時にインボイス対応を進めることが効率的です。

【編集部より】インボイス制度への対応と電帳法への対応は、クラウド請求書サービスを導入することで同時に進められます。「インボイス対応のために請求書フォーマットを変えなければいけない」と悩んでいる会社は、クラウドサービスへの切り替えを機に一気に整備することをおすすめします。

まとめ

  • 2024年以降、電子で受け取った書類は電子データのまま保存が義務
  • クラウド会計の請求書機能を使えば、発行のデジタル化は追加費用なしで始められる
  • 受取は取引先にPDF送付を依頼するところから始める
  • 紙の受取が残る場合はスキャン保存で電帳法に対応できる
  • インボイス対応も請求書デジタル化と同時に進めると効率的
  • まずは「今月発行した請求書を1枚、クラウドサービスで作ってみる」ことから試してみてください。実際に操作してみると、思ったより簡単に進められることがわかります。

ペーパーレス化を含むDX全体の予算の組み方については、こちらの記事で解説しています。

電子帳簿保存法の対応手順を5ステップで知りたい方はこちらの記事で解説しています。

IT業界で30年近く、大企業向けCRM・CMS開発や証券系システム開発に携わってきたエンジニア。葬儀会社をはじめとする中小企業のDX支援の現場で、「ペーパーレスが進まない」「FAXが手放せない」といったリアルな壁を数多く見てきた経験をもとに、"現場で本当に使えるDX情報" を発信しています。

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