「補助金があるのは知っているけど、何が使えるのかよくわからない」という経営者の方へ。中小企業が活用できる主な補助金・助成金を目的別に整理してまとめました。
補助金と助成金の違い
まず基本的な違いを押さえておきましょう。
| 種類 | 特徴 | 採択 |
|---|---|---|
| 補助金 | 申請・審査があり、採択されると受給できる | 審査あり・競争あり |
| 助成金 | 要件を満たせば原則受給できる | 要件を満たせばほぼ確実 |
【編集部より】経営者からの相談では「補助金」と「助成金」が混同されているケースが非常に多く見られます。特に重要な違いは資金計画への影響です。助成金は要件さえ満たせばほぼ受給できますが、補助金は審査があるため「採択される前提で予算を組む」のは危険です。補助金をあてにした資金計画を立てる場合は、不採択だった場合の代替案も用意しておくことをおすすめします。
補助金は申請しても採択されない場合があります。一方、助成金は要件を満たしていればほぼ受け取れますが、手続きが複雑なものもあります。
IT・デジタル化に使える補助金
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)
経済産業省が実施するITツール導入支援の補助金です。会計ソフト・勤怠管理システム・ECサイト構築など、幅広いITツールが対象になります。補助率は1/2〜3/4で、数万円から数百万円の補助が受けられます。毎年公募があり、IT導入支援事業者(ITベンダー)と一緒に申請します。
小規模事業者持続化補助金
従業員20名以下(商業・サービス業は5名以下)の小規模事業者向けの補助金です。販路開拓や業務効率化のための費用が対象で、ホームページ作成やチラシ作成のほか、ITツールの導入費用も対象になる場合があります。補助上限は50万円〜200万円(枠によって異なります)。
ものづくり補助金
製造業・サービス業問わず、革新的な設備投資やシステム構築に使える補助金です。補助上限は750万円〜(枠・規模によって異なります)。比較的規模の大きな投資に向いています。
【編集部より】IT・デジタル化目的であれば、まずデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)を検討するのが基本線です。小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金は対象範囲がITツールに限定されないぶん申請書の書き方に工夫が必要で、採択のハードルもやや上がる印象があります。「ITツールの導入だけが目的」なら、専用制度であるデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)から検討を始める方が申請の見通しを立てやすいです。
人材・採用に使える助成金
キャリアアップ助成金
非正規雇用(パート・アルバイト・契約社員)の労働者を正社員に転換した場合に受け取れる助成金です。1人あたり数十万円の助成が受けられます。厚生労働省が実施しており、社会保険労務士に相談しながら申請するのが一般的です。
人材開発支援助成金
社員の研修・資格取得などに使える助成金です。OFF-JT(社外研修など)やOJT(職場内訓練)にかかる費用と、研修中の賃金の一部が助成されます。デジタルスキル・IT研修なども対象になります。
トライアル雇用助成金
ハローワーク経由で紹介された求職者を一定期間試験的に雇用した場合に受け取れる助成金です。採用のミスマッチを防ぎながら人材を確保できます。
【編集部より】人材系の助成金は「社会保険労務士に相談しながら進めるのが一般的」と書きましたが、これは書類の複雑さだけが理由ではありません。就業規則や雇用契約の内容が要件に直結するため、自己流で進めると要件を満たしていると思っていたのに申請時に対象外と判明する、というケースが起こりやすい分野です。人材系の助成金を検討する際は、早い段階で社労士に相談することをおすすめします。
設備投資・省エネに使える補助金
事業再構築補助金
新分野への展開や事業転換など、思い切った事業再構築に取り組む企業向けの補助金です。補助額が大きい(数百万〜数千万円)ため、大きな事業転換を考えている場合に検討する価値があります。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金
省エネ設備の導入費用を補助する制度です。工場の照明をLEDに変えたり、高効率空調に入れ替えたりする場合に使えます。経済産業省・環境省がそれぞれ実施しています。
補助金を活用するための3つのポイント
1. 地域の支援機関を活用する
商工会議所・商工会・中小企業診断士・よろず支援拠点などに相談すると、自社に合った補助金を紹介してもらえます。無料で相談できる窓口も多くあります。
2. 「後払い」が基本であることを理解する
多くの補助金は、先に費用を支払い、実績報告後に補助金が振り込まれる仕組みです。一時的に自己資金が必要になるため、資金計画に注意が必要です。
3. 毎年制度が変わることを前提にする
補助金・助成金の内容・金額・要件は毎年変わります。「去年は使えた」という情報が今年も使えるとは限りません。申請前に必ず最新情報を確認しましょう。
【編集部より】ここまで紹介した制度の中で、中小企業がまず着手しやすいのはデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)と小規模事業者持続化補助金の組み合わせです。どちらも比較的申請のハードルが低く、地域の商工会議所やよろず支援拠点がサポート体制を持っています。複数の補助金を同時に検討する余力がない場合は、まずこの2つから商工会議所に相談してみるのが現実的な一歩目です。
まとめ
- デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)・小規模事業者持続化補助金はIT化・デジタル化に活用できる
- キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金は人材育成に使える
- 補助金は採択審査あり、助成金は要件を満たせばほぼ受給できる
- 後払いが基本のため、一時的な自己資金が必要
- 商工会議所やよろず支援拠点に相談すると自社に合った制度を教えてもらえる
まずは地域の商工会議所やよろず支援拠点に問い合わせることが、補助金活用の最初の一歩です。

