「経理専任の担当がおらず、社長や総務が兼務でやっている」という中小企業は少なくありません。クラウド会計と自動化の仕組みを組み合わせることで、経理の負担を大幅に減らす方法を解説します。
編集部では、実際に経理業務をひとりで担っている中小企業の担当者からヒアリングを行い、「どこが一番しんどいか」「何を導入したら楽になったか」という声をもとにこの記事をまとめました。
ひとり経理が大変な理由
経理をひとりでまわすと、次のような問題が起きがちです。
- 毎月の帳簿入力・仕分けに時間がかかる
- 領収書・請求書の整理が追いつかない
- 決算・確定申告の時期に業務が集中して他の仕事が止まる
- 担当者が休むと誰も対応できない
- 税理士への資料準備に手間がかかる
これらの多くは、手作業と紙の書類に依存していることが原因です。デジタル化と自動化で解決できる部分が多くあります。
【編集部より】ヒアリングした複数の中小企業では、「月末の締め作業だけで丸2日かかっていた」という声が共通していました。その多くが、銀行明細の手入力と領収書の突き合わせ作業に時間を取られていたケースです。クラウド会計の導入後は、この作業がほぼゼロになったという声も多く聞かれました。
クラウド会計で変わること
クラウド会計(freee・マネーフォワード クラウド・弥生会計オンラインなど)を導入すると、次のような作業が自動化・効率化されます。
銀行口座・クレジットカードの自動連携
銀行口座やクレジットカードと連携すると、入出金データが自動で取り込まれます。手入力が大幅に減り、転記ミスもなくなります。
【編集部より】複数の銀行口座やカードを持つ会社ほど、この自動連携の恩恵が大きいです。口座数が多ければ多いほど、手入力の削減効果が出ます。ただし、地方銀行や信用金庫は対応していない場合もあるため、導入前に自社のメインバンクが対応しているか確認することをおすすめします。
AIによる自動仕分け
取り込まれたデータを、AIが過去の履歴をもとに自動で勘定科目に分類します。最初は間違いもありますが、修正を繰り返すことで精度が上がっていきます。
【編集部より】導入初月は修正作業がやや発生しますが、2〜3ヶ月使い続けると自社の取引パターンをAIが学習し、ほぼ自動で仕分けが完了するようになります。「最初だけ頑張れば、あとは楽になる」というイメージです。
請求書の自動作成・送付
クラウド会計と連携した請求書サービス(または会計ソフトの請求書機能)を使うと、請求書の作成・送付・管理が一元化できます。
税理士とのデータ共有
クラウド上のデータをリアルタイムで税理士と共有できるため、月次報告や決算準備のためのデータ整理がほぼ不要になります。
【編集部より】税理士へのデータ共有がリアルタイムになると、「資料をまとめてメールする」「USBで渡す」という作業がなくなります。税理士からの質問にもその場でデータを見ながら回答できるため、月次ミーティングの時間も短縮されます。
領収書・請求書のデジタル管理
スマホで撮影・自動読み取り
多くのクラウド会計には、スマートフォンで領収書を撮影するとデータを自動読み取り(OCR機能)してくれる機能があります。領収書を後でまとめて入力する手間がなくなります。
【編集部より】「領収書をもらったその場でスマホで撮影する」習慣をつけるだけで、月末の整理作業がほぼなくなります。特に外出が多い営業担当者がいる会社では、紙の領収書を集める手間が大きく削減されます。
電子帳簿保存法への対応
2024年以降、電子取引のデータは電子データで保存することが義務化されています。クラウド会計を使うと、この要件をほぼ自動で満たせます。紙で受け取った領収書も、スキャンして保存するルールを作れば対応できます。
【編集部より】電子帳簿保存法への対応は「やらなければならない義務」ですが、クラウド会計を使えば追加の手間なく自動的に要件を満たせます。法対応とひとり経理の効率化を同時に進められる点は、中小企業にとって大きなメリットです。詳しい対応手順はこちらの記事で解説しています。
自動化で特に効果的な作業3つ
1. 入出金データの自動取込
銀行・カードの連携設定をするだけで、毎月の入力作業がほぼゼロになります。設定は一度やれば継続的に機能します。
2. 定期的な仕分けのテンプレート化
毎月同じ内容の経費(家賃・リース料・サブスク費用など)は、自動仕分けルールを設定しておくと毎月自動で処理されます。
【編集部より】固定費が多い会社ほど、この設定の効果が大きいです。家賃・保険料・サブスクリプションなどを一度ルール化しておくと、毎月の仕分け作業が数分で完了するようになります。
3. 請求書の自動送付設定
取引先が固定している場合、請求書の送付日・金額・送付先を事前に設定しておくことで、毎月ほぼ自動で送付できます。
ひとり経理を支える体制づくり
自動化ツールだけでなく、体制も整えることが大切です。
税理士との役割分担を明確にする
日常の記帳・仕分けは自社で行い、月次確認・決算・申告は税理士に任せるという分担が最も効率的です。クラウド会計を使えば、税理士とのやり取りも最小限になります。
【編集部より】「税理士に何でも任せる」より「日常業務は自社、専門判断は税理士」という分担の方が、コストと品質のバランスが取れます。クラウド会計があればデータ共有がリアルタイムになるため、この分担がスムーズに機能します。
処理のルールを文書化する
「この経費はこの科目」というルールを簡単な表にまとめておくことで、担当者が変わっても同じ品質で処理できます。
月次で締め作業をルーティン化する
毎月同じ日・同じ手順で締め作業をする習慣をつけると、決算期に慌てることがなくなります。
【編集部より】締め作業のチェックリストを作成し、毎月25日前後に実施するルーティンにしている会社では、決算時の追い込み作業がほぼなくなったという声が聞かれました。「毎月少しずつ片付ける」が、ひとり経理を長く続けるコツです。
まとめ
- クラウド会計の銀行連携・AI自動仕分けで手入力を大幅に削減できる
- スマホ撮影による領収書管理で紙の手間が減り、電帳法対応も同時に進む
- 定期的な仕分けはルール設定で自動化でき、毎月の作業が最小限になる
- 税理士との役割分担を明確にすることで、経理にかかる時間全体を減らせる
- 処理ルールを文書化しておくと、担当者に依存しない仕組みが作れる
- まずはクラウド会計の無料トライアルで銀行口座の自動連携を試してみることをお勧めします。「設定してみたら思ったより簡単だった」という声が多く、最初の一歩が最大のハードルです。
どのクラウド会計ソフトが自社に合うか迷っている方は、こちらの比較記事も参考にしてみてください。

