中小企業向けERP入門|基幹システムとは何かをわかりやすく解説

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「ERPや基幹システムという言葉を聞くが、中小企業には関係ないのでは」と思っている経営者の方に向けて、ERPの基本的な仕組みと、中小企業に向いているかどうかの判断基準を解説します。

ERPとは?基幹システムとは?

【編集部より】ERPという言葉を聞くと「大企業の高額なシステム」というイメージを持つ経営者が多いですが、本質は「同じデータをあちこちに手入力する無駄をなくす仕組み」です。財務・在庫・販売がバラバラのシステムで動いていると、同じ売上データを会計ソフトと販売管理ソフトの両方に入力する、といった二重作業が積み重なっていきます。ERPはその重複をなくすための考え方であり、必ずしも大掛かりなシステムである必要はありません。

ERP(Enterprise Resource Planning)とは、会社の主要な業務データを一つのシステムで統合管理するソフトウェアです。日本語では「統合基幹業務システム」とも呼ばれます。

具体的には、以下の業務を一つのシステムで管理します。

  • 財務・会計管理
  • 在庫・仕入れ管理
  • 販売・受注管理
  • 人事・給与管理
  • 生産管理(製造業の場合)

これらがバラバラのシステムで動いている場合、データの二重入力や情報の不一致が起きやすくなります。ERPを使うことで、一度入力したデータが全部門でリアルタイムに共有されます。

中小企業にERPは必要か?

正直に言うと、すべての中小企業にERPが必要なわけではありません。

ERPが向いている会社は以下のような状況です。

ERPを検討すべき状況

  • 売上・在庫・仕入れ・財務のデータがバラバラのシステムに入っており、集計に手間がかかっている
  • 部門間でのデータの受け渡しに時間がかかり、経営判断が遅れている
  • 従業員が50名以上で、業務の複雑さが増してきた

ERPより個別ツールで十分な状況

  • 従業員が30名以下で、業務がシンプル
  • クラウド会計・勤怠・チャットなど個別ツールで十分対応できている
  • 予算が限られており、ERPの導入・運用コストが重荷になる

【編集部より】判断基準として挙げられている「従業員50名」「30名以下」という数字は、実際には人数そのものより「部門をまたいだデータのやり取りがどれだけ発生しているか」の目安と捉えた方が実態に近いです。従業員が20名でも複数店舗・複数事業を展開していてデータ連携が煩雑な会社もあれば、60名でも業務がシンプルでERPが過剰な会社もあります。人数はあくまで目安とし、「今、部門間のデータ受け渡しに時間がかかっているか」で判断することをおすすめします。

中小企業向けERPの選択肢

大企業向けのERPは導入コストが数百万〜数千万円かかりますが、中小企業向けのクラウド型ERPは月額数万円から導入できるものもあります。

製品名特徴向いている規模
freee会計+周辺サービス会計を中心に周辺業務を連携小規模〜中規模
マネーフォワード クラウド会計・勤怠・経費を統合管理小規模〜中規模
弥生シリーズ販売・会計・給与を統合小規模〜中規模
freee人事労務人事・給与・勤怠を統合小規模〜中規模

※料金・機能は各公式サイトでご確認ください。

【編集部より】表にある4製品はいずれも「クラウド会計を起点にしたERP的な使い方ができるサービス」という共通点があります。従来の大企業向けERPのように「最初からすべての業務を統合したシステムを導入する」のではなく、まず会計ソフトを軸に、勤怠・経費・人事の機能を後から追加していく形が中小企業向けクラウドERPの実態に近いです。「ERPを導入する」というより「使っている会計ソフトの周辺機能を広げていく」という捉え方の方が、導入のハードルが低く感じられます。

まず個別ツールから始める考え方

ERPの導入を急ぐより、まずクラウド会計・勤怠管理・チャットなどの個別ツールを導入してデジタル化を進め、業務の複雑さが増してきた段階でERPへの移行を検討するのが現実的です。

多くのクラウドサービスはAPI連携ができるため、個別ツール同士をつないで「擬似的なERP」として使うことも可能です。

【編集部より】「擬似的なERP」という表現がありますが、実務上はこちらの進め方を選ぶ中小企業の方が圧倒的に多い印象です。本格的なERPは導入・運用にそれなりの体制が必要になるため、まずクラウド会計・勤怠管理・経費精算といった個別ツールをAPI連携でつなぎ、業務が本当に複雑になってから本格的なERPへの移行を検討する、という段階を踏む会社がほとんどです。

こんな状況、心当たりはありませんか?

【データの二重入力】
「受注データを営業システムと会計ソフトの両方に手入力しており、入力ミスが頻発している」

ERPか、またはシステム間のAPI連携を整備することで、一度の入力でデータが自動的に各部門に反映されるようになります。

【集計に時間がかかる】
「月次の経営報告資料を作るのに、複数のシステムからデータを集めて集計するだけで1日かかる」

データが統合されていれば、レポートをボタン一つで出力できるようになります。 経営判断のスピードが大幅に上がります。

【編集部より】ERP導入を検討する会社に共通するのは、「システムの問題」よりも「経営判断のスピードが遅れている」という危機感です。月次報告書の作成に1日かかっている状態は、単なる作業の非効率ではなく、その分だけ経営判断が1日遅れているということでもあります。ERPやその代替となるツール連携は、業務効率化の話であると同時に、意思決定のスピードを上げるための投資として捉えると、優先度の判断がしやすくなります。

まとめ

  • ERPとは会社の主要業務データを統合管理するシステム
  • 従業員30名以下の小規模企業は、まず個別のクラウドツールで十分なことが多い
  • 業務の複雑さが増してきた段階でERPへの移行を検討するのが現実的
  • 中小企業向けのクラウド型ERPは月額数万円から導入できるものもある
  • まずクラウド会計・勤怠など個別ツールでデジタル化を進めることが第一歩

個別ツールの選び方については、各比較記事もあわせてご覧ください。

IT業界で30年近く、大企業向けCRM・CMS開発や証券系システム開発に携わってきたエンジニア。葬儀会社をはじめとする中小企業のDX支援の現場で、「ペーパーレスが進まない」「FAXが手放せない」といったリアルな壁を数多く見てきた経験をもとに、"現場で本当に使えるDX情報" を発信しています。

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