「補助金があるのは知っているけど、何が使えるのかよくわからない」という経営者の方へ。中小企業が活用できる主な補助金・助成金を目的別に整理してまとめました。
補助金と助成金の違い
まず基本的な違いを押さえておきましょう。
| 種類 | 特徴 | 採択 |
|---|---|---|
| 補助金 | 申請・審査があり、採択されると受給できる | 審査あり・競争あり |
| 助成金 | 要件を満たせば原則受給できる | 要件を満たせばほぼ確実 |
補助金と助成金の違いは、資金計画への影響に出る。助成金は要件を満たせば支給されるのに対し、補助金には審査があるため、採択される前提で予算を組むと当てが外れる。補助金を織り込んだ計画を立てるなら、不採択だった場合にどうするかを同時に決めておく必要がある。
補助金は申請しても採択されない場合があります。一方、助成金は要件を満たしていればほぼ受け取れますが、手続きが複雑なものもあります。
IT・デジタル化に使える補助金
デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)
経済産業省が実施するITツール導入支援の補助金です。会計ソフト・勤怠管理システム・ECサイト構築など、幅広いITツールが対象になります。毎年公募があり、IT導入支援事業者(ITベンダー)と一緒に申請します。
2026年の申請枠は5つあり、補助率と補助額は枠ごとに違います。申請数が最も多い通常枠は、補助率1/2以内(条件により2/3以内)、補助額5万円〜450万円です。枠ごとの違いと申請手順はデジタル化・AI導入補助金2026とは?旧IT導入補助金からの変更点と申請手順で扱っています。セキュリティ対策のサービスを導入する枠については、セキュリティ対策推進枠の解説で別に整理しています。
小規模事業者持続化補助金
従業員20名以下(商業・サービス業は5名以下)の小規模事業者向けの補助金です。販路開拓や業務効率化のための費用が対象で、ホームページ作成やチラシ作成のほか、ITツールの導入費用も対象になる場合があります。
第20回公募(一般型・通常枠)の補助率は2/3、補助上限は50万円です。ここに特例が上乗せされます。
| 条件 | 補助上限額 |
|---|---|
| 通常枠のみ | 50万円 |
| +インボイス特例 | 100万円 |
| +賃金引上げ特例 | 200万円 |
| +両方の特例 | 250万円 |
インボイス特例は、適格請求書発行事業者の登録を受けたうえで、2021年9月30日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者だったか、2023年10月1日以降に創業した事業者が対象です。賃金引上げ特例は、従業員1人あたりの給与支給総額が年平均3.0%以上増加した事業者が対象で、赤字事業者は補助率が3/4に上がります。
ITツールの導入で注意したいのは、補助対象経費が8つの区分に分かれていることです。機械装置等費・広報費・ウェブサイト関連費・展示会等出展費・旅費・新商品開発費・借料・委託外注費の8区分で、広報費とウェブサイト関連費はそれぞれ上限30万円(税込)と決まっています。補助上限が250万円になっても、ホームページ関連に使える額はこの枠に収まります。
第20回の申請受付は2026年11月5日から12月15日17:00までです。8つの区分のどこにITツールが入るのか、どの品目が対象外として名指しされているのかは、持続化補助金でITツールを買う場合を整理したページで扱っています。
ものづくり補助金
技術的に新しい製品・サービスの開発などに使える補助金です。2026年度は、新たに「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の公募が中小機構から始まっています。革新的な新製品・新サービスの開発を対象とする枠のほか、新市場への進出や輸出に向けた体制強化を対象とする枠があります。公式サイトでは、従来のものづくり補助金や中小企業新事業進出補助金とは別の補助金と案内されています。第1回公募は2026年6月29日に始まり、応募締切は2026年10月30日18時です(2026年10月10日に公式サイトで確認)。従来のものづくり補助金は、2026年10月10日時点で、第23次締切(2026年5月)より後の公募が公式サイトに掲載されていません。補助額や要件は公募回ごとに変わるため、公式サイトの公募要領で確認してください。
ただしDX投資に使えるかどうかは枠の要件しだいです。既存業務の効率化を目的とした投資が対象になるかという線引きはものづくり補助金はDX投資に使えるかで、公募要領から整理しています。設備投資でDXを進めるなら省力化投資補助金も選択肢になりますが、こちらは型によって対象経費の考え方が変わります。その違いは省力化投資補助金|カタログ注文型と一般型の違いで扱っています。
ITツールの導入そのものが目的なら、専用制度であるデジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)から要件を見比べるほうが見通しが立てやすくなります。小規模事業者持続化補助金やものづくり補助金は対象がITツールに限られないぶん、事業計画の書き方で補助対象としての位置づけを説明する必要が出てきます。
人材・採用に使える助成金
キャリアアップ助成金
非正規雇用(パート・アルバイト・契約社員)の労働者を正社員に転換した場合に受け取れる助成金です。1人あたり数十万円の助成が受けられます。厚生労働省が実施しており、社会保険労務士に相談しながら申請するのが一般的です。
人材開発支援助成金
社員の研修・資格取得などに使える助成金です。OFF-JT(社外研修など)やOJT(職場内訓練)にかかる費用と、研修中の賃金の一部が助成されます。デジタルスキル・IT研修なども対象になります。
トライアル雇用助成金
ハローワーク経由で紹介された求職者を一定期間試験的に雇用した場合に受け取れる助成金です。採用のミスマッチを防ぎながら人材を確保できます。
人材系の助成金で社会保険労務士に相談する意味は、書類が複雑だからというだけではない。就業規則や雇用契約の内容がそのまま支給要件に関わるため、要件を満たしているつもりで進めて申請時に対象外と分かると、手戻りが大きくなる。検討の早い段階で相談しておくほうが安全である。
設備投資・省エネに使える補助金
事業再構築補助金(新規の募集は終了)
新分野展開や事業転換を支援してきた事業再構築補助金は、2024年度の第13回公募で新規の応募受付を終えています。後継として中小企業新事業進出補助金が設けられ、2026年度には、新市場への進出を対象とする枠を含む「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の公募も始まっています。
省エネルギー投資促進支援事業費補助金
省エネ設備の導入費用を補助する制度です。工場の照明をLEDに変えたり、高効率空調に入れ替えたりする場合に使えます。経済産業省・環境省がそれぞれ実施しています。
補助金を活用するための3つのポイント
1. 地域の支援機関を活用する
商工会議所・商工会・中小企業診断士・よろず支援拠点などに相談すると、自社に合った補助金を紹介してもらえます。無料で相談できる窓口も多くあります。
2. 「後払い」が基本であることを理解する
多くの補助金は、先に費用を支払い、実績報告後に補助金が振り込まれる仕組みです。一時的に自己資金が必要になるため、資金計画に注意が必要です。さらに、受け取った補助金は課税の対象に入ります。いつ・いくらが課税され、圧縮記帳で何が動くのかは、補助金を受け取った後の税務を扱ったページにまとめています。
補助金を前提にせず、そもそもどれくらいの投資が必要かを先に押さえておくと、この資金繰りの見通しが立てやすくなります。規模別の相場と内訳は中小企業のDX予算はいくら必要かで整理しています。
3. 毎年制度が変わることを前提にする
補助金・助成金の内容・金額・要件は毎年変わります。「去年は使えた」という情報が今年も使えるとは限りません。申請前に必ず最新情報を確認しましょう。
最初の一歩としては、デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)と小規模事業者持続化補助金の2つが取り付きやすい。いずれも地域の商工会議所やよろず支援拠点が相談窓口を持っているので、複数の制度を並行して検討する余力がないなら、この2つについて相談してみるところから始めるとよい。
まとめ
- デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)・小規模事業者持続化補助金はIT化・デジタル化に活用できる
- キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金は人材育成に使える
- 補助金は採択審査あり、助成金は要件を満たせばほぼ受給できる
- 後払いが基本のため、一時的な自己資金が必要
- 商工会議所やよろず支援拠点に相談すると自社に合った制度を教えてもらえる
まずは地域の商工会議所やよろず支援拠点に問い合わせることが、補助金活用の最初の一歩です。
出典と確認日
- 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回 公募要領(第8版・2026年7月21日)PDF
- 商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>公式サイト(申請受付期間)https://r6.jizokukahojokin.info/
- デジタル化・AI導入補助金の補助率・補助額は、当サイトのデジタル化・AI導入補助金2026(2026年8月時点の公表情報)による
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金の公募日程:中小機構 J-Net21「補助金・助成金:新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」(2026年10月10日確認)
- 事業再構築補助金の新規応募受付の終了:中小機構 J-Net21「第13回事業再構築補助金の公募を開始」
確認日:2026年9月13日(新事業進出・ものづくり商業サービス補助金と事業再構築補助金の記述は2026年10月10日)
※補助金・助成金の要件、金額、スケジュールは公募回ごとに変わります。申請にあたっては、必ず最新の公募要領と各制度の公式サイトを確認してください。自社が要件に当てはまるかどうかの判断は、商工会議所・よろず支援拠点・認定経営革新等支援機関などにご相談ください。

